みなさま お変わりなく
お過ごしでしょうか。
大変ご無沙汰を
しておりました。
昨年末の、
オルフェウス室内管弦楽団との
カーネギーホール公演を
行った後に、 マンスリー・レターをお送りしようと思っていたのですが、
その矢先にコンピューターが起動しなくなってしまい、 皆様のアドレスのデータを修復するのに時間がかかってしまいました…。 さて、ニューヨークはまだまだ春到来には程遠く、
氷点下の日々もいまだに続いているのですが、 私のほうはといえば、いよいよ来週パリに渡り、
ソロ・アルバムのレコーディングを行うことになっております。
昨年中旬より、レコーディングに向けて準備はしてきたのですが、 当初はエージェントのスタジオがある、
ドイツのハイデルベルクで行う予定にしていました。 そして昨年の秋にドイツに行った折りに、何都市かを巡り、
地元のチェンバロ工房等で、20台近く試弾させて頂き、 「これを使おうかな…」と大体目星を付けてドイツを後にしたのですが、 その後訪れたパリで、思わぬ展開へと事態が動きだしました!
ドイツのバンメンタール、フランクフルト、
国境近くのフランス・ジロマニーで見せていただいたチェンバロ↓
2年前に逝去された、古楽器演奏の世界的権威でもあった
故グスタフ・レオンハルト氏の愛器であったチェンバロが 今年に入ってから4か月間パリで保管されるので、
パリで録音するなら、特別に使用してもいい…とのオファーを受けました。 余りの夢のような申し出に、後先考えずに、
「パリで絶対に録音します!」と即答してしまいました。
その楽器を実際に試し弾きさせて頂いたのが、今年の初め。 音色も私の録音する曲目にピッタリで、
鍵盤の感触もすんなりと指に馴染みました。
レコーディングに使用させて頂くチェンバロです↓
それから、レコーディングのエンジニア、プロデューサー、
会場や調律師の手配等と、 フランス人相手だと、日本やニューヨークとはコンタクトの進み度合いが
5~10倍くらい遅い…とは分かってはいるつもりでしたが、 毎日フランス語でのメールや電話でのやり取りに格闘しながらも、
余りにもスムーズに事が進まなくて、
「やっぱりもう無理かも…」と弱気になりそうでしたが、 恩師のスキップ・センぺ氏や、今回プロデュースを快く引き受けてくれた
オリヴィエ・フォルタン氏より多大なるご尽力を頂き、 ようやくレコーディングが実現的になったのが、10日前。
そして、来週にはもう出発です。
今まで、室内楽やオーケストラの録音は何度も経験があるのですが、 ソロ・レコーディングは初めてですので、どうなるのか想像もつきませんが、 身に余るオファーに応えられるように
(レオンハルト氏が亡くなってからは、初めて録音に使われることになります)、
いいアルバムを作りたいと思っています。 どうぞお楽しみにお待ちくださいませ!
(しかも会場は、故レオンハルト氏をはじめ、
多数のチェンバロ奏者が録音に使った教会で行うのですが、 朝から午後6時までは教会が一般公開されているので、
録音を行うのは夜の7時からというハード・スケジュールです。 プロデューサーは「毎晩夜中何時まで続けてもいいよ~。」と
言ってくれてはいるのですが、どんなハプニングが起こるやら…
また色々なお話をお伝えできるかと思います☺)
季節の変わり目、どうぞお身体お大事にお過ごしくださいませ。
ニューヨークより
濱田あや