みなさま いかがお過ごしでしょうか。
私は、寝ても覚めても「ドン・ジョヴァンニ」の2週間を
過ごしていました。
フランスの古楽オーケストラ
レザール・フロリサン/
ジャルダン・デ・ヴォワの
プロジェクトで
モーツァルトのオペラ
「偽の女庭師」を終えた後は、
引き続きモーツァルトのオペラ
「ドン・ジョヴァンニ」です!
今回の「ドン・ジョヴァンニ」は
ニューヨークのオペラ・カンパニー「ハートビート・オペラ」の主催公演です。
今回の公演のために特別にアレンジされた、
弦楽四重奏+コントラバス+クラリネット+チェンバロの7人編成の
室内管弦楽版での演奏となりました。
モーツァルトのオーケストラ版を7人で受け持つので、
一人一人の演奏比率も大きく、責任重大です。
それに加えて、チェンバロ奏者には、重要な役割が待ち受けています・・・。
レチタティーヴォと言われる、
登場人物が話すように歌い、ストーリーが進んで行く場面での
通奏低音による伴奏です。
かなり早口のイタリア語で進んでいくので、
歌詞を聴き取って、それにあわせて和音を付けていくだけでも、
神経がすり減る思いの連続。
その段階を乗り越えて、
即興的に
いろいろな装飾を付けたり、対旋律やリズムを付け加えたり、
また歌詞や単語に呼応して表現を色づけをしたりと
自分ならではのオリジナルな表現が出来るので、
私の大好きな分野ではあるのですが・・・
実は、今回の公演の音楽監督は、
去年私が別のオペラで弾いていたのを聴かれ、
「わぁ!こんなエキサイティングなレチタティーヴォの通奏低音は初めて聴いた!」
と大変気に入ってくださり、今回お声をかけていただきました。
ということもあり、「何とかこの期待に応えなければ・・・💦」と焦る毎日で、
いつでもどこでも「ドン・ジョヴァンニ」の分厚い楽譜を持ち歩き、
飛行機の中や、別のコンサートの開演前など
時間があれば歌詞を何度も復唱して、アイデアを練っていきました。
歌手の人たちと合わせるのは、
テクニカルリハーサルとゲネプロ(最終通しリハーサル)での
2回しかなかったので、
弾きながらも、必死に、歌手の間の取り方や表現を頭にたたき込み・・・
初日の幕が空く直前は、さすがに緊張も頂点になりました!
↓こちらが、今回の公演のプロモーションビデオです。
メトロポリタン歌劇場のような
大規模の公演ではないのですが、
革新的な演出で注目度が高く、
ニューヨーク・タイムズ紙や
ウォール・ストリート・
ジャーナル紙
ニューヨーク・マガジンなども
取材に来ていました。
(おかげで「才能の塊の器楽奏者たち」
「7人でモーツァルトの表情豊かな音楽を見事に再現」などと
公演レビューに掲載されました。)
毎回気が引き締まる思いで全力投球で臨み、充実感に溢れた全6公演。
観客の方からの反応も素晴らしく、
音楽監督も
「すばらしい!
独創的なレチタティーヴィに脱帽!
毎回、何が繰り広げられるのか
とっても楽しみだった!今後も是非」と
喜んでくださり、
モーツァルトにどっぷり浸かった数週間も
楽しく終わりを迎えました。
さて、また明日からは、ストイックにソロ曲に取り組むことに・・・♪
みなさまもどうぞお体をお大切にお過ごし下さい。
ニューヨークより
濱田あや